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泣くほど感動したビジネス本「経営者の教科書」

経営の教科書
故あって、最近経営関連の本をよく読む。しかし残念ながら、この手の本は、宙に浮いた”べき論”と、よく見るフレームワークと、自己顕示臭プンプンのエピソードで終始することが多い。この本にもそんなに過度な期待はしていなかったのだが、いい意味で裏切られた。ビジネス本を読んで泣いちゃったのは初めて。感動した。

タイトルは「経営の教科書」だが、是非、一般職や中間管理職の人にも読んで欲しい。「会社」の部分を「部(課)」や「仕事(業務)」に置き換えても、全く違和感なく読める内容だ。寧ろ、あたしは新人ディレクター時代に出会えていれば、と思った。

著者の新氏は、日本コカコーラやJohnson&Johnsonなどナショナルカンパニーの社長を多数歴任されている。経歴を見るともう少し偉ぶってもよさそうなものなのに、なんというか、学ぶ姿勢を崩さない面や人を大事に思う信条が、文面から滲みでている。だからこそ、この本は生身の人間の自信や苦悩、経験に根ざした生きた言葉に満ちているのだと思った。いくつか目から鱗ポロンポロンの箇所があったのでピックアップ。

「多・長・根」をつねに意識する

曰く「『多』は多面的・複眼的に物事を見ること。『長』は短期ではなく長期で見通すこと。『根』は枝葉末節ではなく根本に注意を向けること」。忙しくなったりテンパったりすると、ついつい忘れがちだよなぁと猛省。
著者は、これらを失うとどのようなことが起こるのか具体例を挙げ、更にこれらの視点「大局観」をもって優先順位をつけなさい、と説いている。それができればトレードオフの両立も可能になるからだ。実は取捨選択と称して捨てたチャンスに、大きな可能性が眠っているかもしれない。経営のみならず、仕事・実生活全てにおいて必要な目線と言える。

「冷えた六本のビール」は何か?

大好きな章。ビール1ダースを夕方にオーダーされた酒屋。普通の店は蔵から出した常温のビールを12本届けた。繁盛店は6本を冷蔵庫から、6本を蔵から出して届けた。繁盛店の運んだ冷えた六本のビールこそが「付加価値」である、というエピソードだ。自社の、または自分の提供できる「付加価値」は何なのか。投資せずとも、スキルや才能がなくとも、真剣に考えることで生み出される些細なことが、大きな付加価値になりうる。ああ目から鱗。素晴らしい。

「自責」の風

「他責」は無駄。排除すべきだという内容。まずは「自分に何ができるか、すべきか」を最初に考える「自責」を徹底すれば、現状からの変化をもたらすことができる。自責については自分がまずは肝に銘じることは勿論、一緒に働く仲間にも浸透させる必要がある。氏は「責任転嫁は成長機会の自己否定である」と締めている。つまり、周りの仲間たちの成長を止めないためにも、部下の人材育成の観点からも、仕事環境の中に「自責」の気風を蔓延させる必要がある。共感!

抜粋は以上。あとは是非読んで欲しい。この本にはビジネスマン全てが知っておくべきノウハウやマインドがギュッと凝縮されている。耳が痛い部分もたくさんあった。先月読んだ本だが、以降何度も定期的に読みなおして、励まされたり、自戒したりしている。

ちなみに、筆者に礼状を、など思い立ったこともないのに、あまりに感動して著者新先生にファンレター(?)を送ってしまった。翌日、わざわざあたしなんぞにご丁寧な返信を頂いて、益々ファンになってしまった。なんというか、本の内容も然りだけど、お人柄に惚れたのでしょうな、わたくし。

経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目
新 将命
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読書MEMO「目のつけどころ」

100201_4 企画力や発想力は”才能”ではない。日頃の心がけ次第で身に付く”スキル”だ。諦めてないで、とりあえずやれ!癖にしろ!という本。いいですね、この体育会系アプローチ。序盤は正に素振りや走り込みなのですが、それらの意義や目指すゴールが体験談を交えて書かれています。ノウハウをフレームワークとして紹介している点や、グラフ化して視覚的に理解させてくれる点も秀逸です。

この本のポイント

  • “分析のモノサシ”を使って視点を増やすべし。
  • モノサシ=訓練で身に付く手法である。
  • 視点を2軸とするマトリックスで発想を企画へと落とし込む。
  • 2軸がショボイと企画もショボイ。
  • だから軸となる視点は多ければ多い程良い。
  • 視点を増やすことはコミュニケーションスキルも向上させる。

個人的には、既に業務で使っている考え方・手法が主ではありましたが、状況に合わせて経験則だけでなんとなくやってきたことも、根拠や効果を改めて文章にして貰えるとなんだか励まされます。理解することで、例えば手法を指導しなければならないときにも、順序立ててロジカルに教えられそうです。「習うより慣れろ」フェーズの方にも「慣れたけど習う?」フェーズの方にもおすすめできます。
new_window目のつけどころ

向田邦子先生

やたらと知人に世を去られ、大体毎月誰かの命日を悲しむハメに。
今月は6歳で亡くなった従弟の命日がある。当時あたしは9歳。初めてちゃんと「死」というものを体感したのはその時だった気がする。合掌。

で、今月はあたしの超超尊敬するモノ書き、向田邦子先生の命日もあったりする。享年51歳。当時から向田作品を愛読していたあたしには衝撃の事件だった。ああ、あれも小学生の頃かぁ。もう27年も前なんだなぁ。

向 田邦子先生の文章はとにかく「男前」だ。言いたいことをガシガシ主張して、しかしそこには嫌味がなく、サッパリとしていて後味がいい。脂の乗った光物の刺 身を極上の日本酒で頂く感じ。読んでいて、思わずニヤリと笑ってしまうこともしばしばである。それでいて、なんとなく彼女の優しさや女っぽさが文章のそこ かしこに散りばめられていて、1節読み終わるごとに「いい女やなぁ~」と賞賛したくなる。男前なのにいい女。あたし的「ギャップ萌え」の元祖は彼女なので ある。

文章力はテクニックだ。しかし、表現力は技術では補えない。特にエッセイは、どうしても書き手の人柄が如実に表れる。直接表現されていない人生観やら経験やらが行間に満ち満ちているから、エッセイは面白い。

あたしも何度かこの手の作品を書き、賞を頂いたこともあるが、向田先生の爪の垢を何万トン飲んでも足元にも及ぶまい。自分の書いた作品は既に忘れてしまったが、10年近く読んでいない彼女の作品は大体どれも記憶にある。それはきっと「面白かった」からなのだ。

闘 病したり、恋人が死んだり、涙を流させるだけの感動モノはやたらと氾濫しているが、笑わせ、唸らせて、人の記憶にかくも残る作品が、昨今現われただろう か。あたしも世に何かを提供する仕事をしている以上、記憶に残るほど人を楽しませてみたい。向田級は無理でも、何かを残すまでは死ねないなぁと思った。

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