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マネジメントをはじめる人へ

2009年度もまもなく終わり。新たな年度に向けて、昇格・昇給試験や辞令がやって来る時期でもあります。会社を辞めたあたしに、後を引き継いで新米リーダーになる後輩たちが今も必ずこう聞きます。「マニュアルとかないですか?」。そこはもう即答です。「マニュアルなんかねーよ!」

会社自体は某大企業の子会社としてスタートしているので、新卒から定年間近のおじさままで幅広い人材が揃っていましたが、あたしの所属していた部署はIT系ということもあり若いメンバーが多く、非常に未熟な組織でした。入社数年でトップになってしまった30代半ばのおにーちゃんを筆頭に全員が中途採用。異業種転職も多く、メンバーは20代〜30代前半の中堅に及ばない人員がほとんどでした。そのため、人数が増えた現在でもレイヤーを設けることが難しく、「上司」と呼べる人間が実質1〜2人しかいません。つまりは、ロールモデルが少なすぎて、どう学べばいいのか分からないのです。通常、とりあえず直属の上司を真似たり、タイプの似た上司を目標にしたりするものですが、ここまで少ないとサンプル上司の選択肢も、接触頻度も足りない。不安がるのも無理からぬことではあります。かくいうあたしも異業種転職でしたし、上司にお手本はいなかったので、後輩たちの気持ちは痛い程分かります。しかし、経験したからこそ、気持ちを分かった上で、敢えて言います。「マネジメントにマニュアルもロールモデルも求めんじゃねえ!」

マネジメント関連本は数多売られています。就任当初はあたしも縋りつく思いで読みあさりましたが、分かったことは「マネジメントに答えはない」ということです。最終的に手にとるのは心理学関連の本や、ドラッガーに代表されるマネジメントスピリッツ系。部下が上司に求めるのは精神的な支えが大部分なのです。これは、自分が現場にいた頃を思い出せば容易に理解できることでもあります。手段や手法で補えることは、マネージャーの仕事のほんの些細な部分だとあたしは思っています。短い期間でしたし、完遂できたのか、成功だったか、これまた答えはありませんが、後輩に伝えたこと・伝えきれなかったことを、したためてみようと思います。あ、もちろん毒舌です。そして、あくまでも持論です。

マネジメントをかっこいい仕事だと思うな

「マネジメント職に就任しました!」って喜んでる方々。肩書きが大好きで出世命のサラリーマンはどこの会社にもいるし、ビジネスパーソンである以上その発想を否定するつもりはない。個人的には好きじゃないけど。実際に給料も増える。名刺の威力も上がるだろう。しかし、浮かれるのだけはやめろ。出世は手段だ。目的であってはならない。肩書きは所詮”社内外との交渉に使える武器の一つ”に過ぎない。上がった給与は部下に振舞う酒に消えると思え。少なくとも、自己犠牲の精神がなければマネジメントは務まらない。立ち向かう対象、守る対象は何であれ(人によるので)、マネジメント職の仕事は「砦」である。傷を負う覚悟をしろ。腹をくくれない上司は、後ろから部下に撃たれて死ぬと思え。

どんな上司になるか決めて臨め

まずは自己分析する。上司にはリーダータイプとマネージャータイプの大きく2種類の要素がある。人の上に立つ以上どちらの要素も必要ではあるが、どちらに寄せるのか、どちらが向いているのか、を定めておく必要がある。要は自分の上司としての信念のプライオリティを知っておくという作業だ。
まずは会社における自分の立ち位置と、関わる要素の構成を見直そう。雑ですが、ざっくりこんな感じ(※Graph.1)。中の円が社内、外の薄い円が社外。社外との接触頻度や影響力は会社内でのポジションと連動しているので、外の円はちょいとずれている。
100215_1 Graph.1 meの立ち位置とおしごと環境
人間の視野はおよそ200度。360度全部見渡そうとすると、凡人である限り浅く広く見ることになる。見落としや判断ミスを犯すリスクを回避するには200度内に収まる範囲をより深く見つめる方がマネジメントという仕事には向いている。この200度にどの視野を選ぶかによって、マネジメントのタイプを考える。

1, リーダー型

自分が先頭に立って部下や後輩を引っ張っていくことによって、企業、組織及び人的な成長を促すタイプはこちら。突っ走りがちで、とりあえずやってみる!という特性の持ち主にはおすすめ。上司や協業組織を説得して道を切り拓くシーンが多いため、気を配る角度はGraph.2な感じになるだろう。
100215_2 Graph.2 リーダーなmeの場合
この場合、素早く適正な判断を下す決断力と、集団を牽引するリーダーシップが求められる。”この角度”で上手くいけば、有力なネットワーク構築により、大きな投資が必要なプロジェクトをも実現し得る。サラリーマンとしては最高のシナリオだ。一方、”この角度”なので、部下のケアをする時間は圧倒的に不足する。モチベーションマネジメントができない部分は、ひた走るリーダーの背中で語るしかない。部下がついてこない、というリスクが高まることは覚悟すべきである。

2, マネージャー型

どちらかと言うと縁の下の力持ち的な働きで、人材育成やリスク回避、業務改善によって組織及び個人の利益を創出するタイプはこちら。自分がプレイヤーだった頃の経験を活かして指導したいとか、メンバーのモチベーションを上げることにより良い職場環境で働きたいという方におすすめ。平和や義理人情を愛する上司は必然的にこちらに傾くのかもしれない。よって視野角はGraph.3なイメージ。
100215_3 Graph.3 マネージャーなmeの場合
この場合に必要なのは、傾聴スキルや問題解決能力。判断は多少遅くても構わないが、モチベーションマネジメントでのミスは修復に時間がかかるので、リスクは少なくない。組織的な結果が出るのには時間を要するし、派手に大きな業績は上がらないだろう。しかし、部下の信頼を得ることはできるし、皆が楽しく働ける職場を自分の手で作ることができる。正に「上司冥利に尽きる」はこのタイプのみに味わうことのできる特権と言える。

忘れてはならないのは、組織の中には1,2両方の上司がいることが理想的だということだ。1だけでは組織が空中分解して機能停止なんてことにもなりかねないし、2だけでは利益が出にくいし新しいことができない。そして、両方に共通しているのは、どちらのタイプも目的は組織やメンバーの成長であること。リーダーは部下から嫌われることや転ぶことを厭わない。マネージャーは上司から疎まれることや即効性のなさを厭わない。だからこそ、いずれのタイプであろうとも、腹をくくることは最も必要なのだ。

今回のまとめ

大抵の場合、マネジメント職を任命される人はプレイヤーとして充実している。手を動かして何かを生み出す喜びを実感しているピークであることも多いのではないだろうか。既に覚悟ができていたり、出世に対して前向きな人は別だが、プレイヤーを離れることへの未練やプレッシャーが最初に対峙する敵になる。でも、経験上思うのは、就く前もしくは就く際に、人の上に立つことの重みに悩んだり何ができるだろうかとあれこれ考えた人の方が、いわゆる”よい上司”になれている気がするのだ。だから、「まぁ勤続年数的にね」とか「他にいないもんね」とか言わずに、とことん悩んで腹をくくって欲しい。会社員は24時間のうちの半分を会社で過ごす。感情や考え方や経済状況、延いては健康状態まで上司は変えることができる。部下を不幸にすることは実は簡単。一方幸福にすることはなかなか難儀である。名刺や給料が変わることなど、二の次だということだけは理解して臨むべし!「え?なに?重いじゃん・・・」と嘆いたあなた、今すぐ辞退すべし!




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